新人離職対策

「教える余裕がない」のは上司も同じ——現場監督が抱える”教育”という名の重荷

日本AI施工管理合同会社 公式ブログ


新人の離職問題が語られるとき、主役はいつも「辞める側」です。しかし、現場には「教える余裕がないのに、教えなければならない」上司や先輩がいます。

「新人が辞めるのは教育が悪いからだ」——そう言われたとき、現場監督や所長は何を思うでしょうか。教えたくないわけじゃない。教える時間がないんだ、と。

この記事では、施工管理の新人教育における「教える側」の構造的な限界と、その打開策を考えます。


残業上限規制で「教育の時間」が物理的に消えた

2024年4月、建設業にもついに時間外労働の上限規制が適用されました。原則として月45時間・年360時間。これ自体は労働環境の改善として歓迎すべきことですが、現場監督にとっては深刻な副作用がありました。

教育に充てる時間が、さらに圧縮されたのです。

現場監督の一日を考えてみてください。7時に出勤し、朝礼を仕切り、午前中は現場を巡回して安全確認・品質チェック・写真撮影。昼礼を経て午後も現場対応。17時半に現場が終わっても、そこから日報の確認、工程表の更新、翌日の段取り、安全書類の作成と、事務作業が山積みです。

この日常の中で、「新人に丁寧に教える1時間」を確保するのは、現実的にほぼ不可能です。残業規制前であれば、20時まで残って新人の日報を赤入れし、翌日の段取りを口頭で説明する時間がありました。しかし今、その時間を使えば自分の残業時間が規制を超えてしまう。

結果、何が起きるか。「新人に教えるよりも自分でやったほうが早い」という判断が、合理的な選択になってしまうのです。


上司の「日報チェック」に毎日30分を奪われている

新人の教育コストの中で、上司にとって最も身近で最も負荷が高いのが日報のチェックです。

新人が書く日報は、当然ながら品質にばらつきがあります。書式が整っていない、必要な項目が抜けている、専門用語の使い方が間違っている、数量が記載されていない。これを一つひとつ赤入れして修正し、場合によっては書き直しを指示する。

この作業に、毎日30分〜1時間を費やしている現場監督は少なくありません。新人が2人いれば、日報チェックだけで1時間。自分の日報を書く時間も別に必要です。

「日報なんて形式的なものだろう」と思われるかもしれませんが、施工管理において日報は単なる記録ではありません。工程の進捗、品質の状態、安全上の問題、人員配置——すべてが日報に集約されます。新人の日報が不正確なら、工程管理そのものに支障をきたす。だから、手を抜けない。

しかし、新人に日報の書き方を体系的に教えている会社はほとんどありません。 「先輩の日報を見て覚えろ」で済まされ、なぜその項目を書くのか、どの粒度で記録するのかは伝えられない。結果として、毎晩の赤入れ地獄が始まります。


「何が分からないか分からない」新人に、何を教えればいいのか

新人の教育で上司が最もストレスを感じるのは、「何が分からないか分からない」状態の新人に対応することです。

「分からないことがあったら聞いて」と言っても、新人は質問してきません。経験と基礎知識が不足しているため、疑問を言語化できないのです。これは新人の怠慢ではなく、認知的な限界——メタ認知(自分が何を知らないかを把握する能力)がまだ発達していない段階の構造的な問題です。

だから「1日に分からないことを10個挙げて」という指示も、逆効果になることがあります。新人は「質問すら満足にできない自分」にさらに自信を失い、上司は「聞いても何も出てこない」と苛立つ。双方が不幸になります。

ではどうすればいいのか。答えは「新人に質問させる」のではなく、「新人がつまずくポイントを先回りして提示する」仕組みを作ることです。「今日の現場は躯体工事ですね。こんな用語が出てきますよ」「明日は配筋検査です。チェックポイントはこの5つです」。先回りの情報提供があれば、新人は「これが分からない」と具体的に言えるようになります。

しかし、この「先回り」を毎朝やるのは、上司にとって相当な負荷です。


新人のミスの「後始末」が一番つらい

教育の負荷で最も見落とされがちなのが、新人のミスの後始末にかかるコストです。

新人が朝礼で工程説明を間違えて、職人が違う作業を始めてしまった。新人が寸法確認を誤って「大丈夫です」と答え、コンクリート打設後に補修工事が発生した。新人が壁色変更の伝達を怠り、塗装の全面やり直しになった。

これらのトラブルの後始末をするのは、すべて上司です。職人への謝罪、工程の調整、追加コストの処理、発注者への説明。新人のミスひとつで、半日〜1日分の業務が増えることもあります。

こうした経験が積み重なると、上司の中に「新人に任せるよりも自分でやったほうがリスクが低い」という合理的な判断が形成されます。そして新人は放置される。放置された新人は成長機会を失い、「自分はこの現場に必要とされていない」と感じて辞めていく。

教える時間がない → 教えられない → 新人がミスする → 後始末で時間が消える → さらに教える余裕がなくなる

この悪循環を、個人の努力で断ち切ることは不可能です。


「教え方」を教わったことがない上司たち

もうひとつ、根本的な問題があります。多くの現場監督は、「教え方」を教わったことがないのです。

自分自身が「見て覚えろ」で育ってきた世代であり、体系的な教育手法を学ぶ機会はありませんでした。「自分がやられたように教える」しかノウハウがない。しかし、20年前の教育方法が現代の若手に通用するとは限りません。

OJTに課題を抱える企業が93%という数字が示しているのは、「教える側にスキルとリソースが不足している」という構造的な問題です。にもかかわらず、「新人が辞めたのは教育のせいだ」と言われれば、上司は「じゃあどうすればいいんだ」と追い詰められます。

さらに現実的な問題として、建設業の就業者は55歳以上が約37%を占めます。この世代が退職するまでの残り数年間に暗黙知を次世代に移転する必要がありますが、その「移転作業」自体が、日常業務に加えた追加負荷として上司の肩にのしかかっています。


建設業全体が自殺率最高の業界であるという事実

ここで一つ、重い事実を共有させてください。

建設業は、全産業の中で最も自殺率が高い業界です。これは日本だけの問題ではなく、米国でも建設業の自殺率は10万人あたり53.2人で、全国平均の約4倍に達しています。

この数字が示すのは、建設業のストレスが新人だけに集中しているわけではないということです。教える側もまた、過剰な業務量、責任の重さ、人手不足のプレッシャーの中で精神的に追い詰められています。

「新人が辞めるのは上司の責任」と一方的に責めることは、問題の解決にはなりません。教える側と教わる側、双方の負荷を同時に軽減する仕組みが必要なのです。


「教える負荷」をAIで半分にする

私たち日本AI施工管理合同会社が提案する「新人即戦力化AI」は、新人のためだけのツールではありません。教える側の上司・先輩の負荷を半減させるツールでもあります。

日報チェックの負荷を半減: AIが8割の品質で日報を仕上げるので、上司はチェックと赤入れだけに集中できます。「毎日30分の日報チェック」が「毎日15分の確認作業」に変わります。

「何を教えればいいか」の判断を自動化: AIが新人の質問履歴やつまずきポイントを分析し、「この新人はいま工程管理の基礎で詰まっている」と可視化。上司は、ピンポイントで必要な指導だけに時間を使えます。

朝の段取り説明を省力化: AIが経験年数と現場フェーズに合わせたチェックリストを自動生成。上司は毎朝10分かけて説明していた内容のうち、定型的な部分をAIに任せ、当日の特殊事項だけ補足すればいい。

基礎知識はAIが教え、上司は応用だけ教える——この役割分担が、教育の質と効率を同時に上げます。


教えたい気持ちを、仕組みで実現する

多くの現場監督は、本当は新人に教えたいと思っています。自分が苦労して身につけた知識や技術を、次の世代に伝えたい。しかし、時間がない。余裕がない。方法が分からない。

「新人即戦力化AI」は、その「教えたい気持ち」を実現するための仕組みです。上司の知識と経験をAIの基盤に載せ、24時間・365日、新人に届ける。先輩が教えたいことを、先輩の代わりにAIが繰り返し教える。

教育は、情熱だけでは続きません。仕組みがあって初めて、持続的に機能します。

まずは2週間、あなたの現場で試してみませんか。


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本記事の情報は、厚生労働省、国土交通省、現場改善ラボ調査、CDC(米国疾病予防管理センター)職業別自殺率データ、各種体験談をもとに構成しています。

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